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創造の杜 2024 作曲家 ペーテル・エトヴェシュ




藝大21 創造の杜2024

作曲家ペーテル・エトヴェシュ


エトヴェシュは、あなたの耳を求めている。

 

 2024年度の「創造の杜」では、ハンガリー出身で、長くドイツとフランスを拠点に指揮者・作曲家・教育者として活動してきたペーテル・エトヴェシュ(b. 1944)を取り上げます。「作曲の際はいつも、オーディエンスの真ん中に座っている自分を想像するのです。そして耳を全開にして音楽を聴きます。そうして聞こえてきた音楽、私が体験したばかりの音楽を五線譜に書きつけるのです。私の音楽がこの音楽界で理解されてきたのは、私の音楽とオーディエンスの間にとても強い繋がりがあるからです。」(ゼナイダ・デ・ゾブリとのインタヴュー、2022年2月28日)この言葉が示すように、ペーテル・エトヴェシュの音楽は、聴取者を突き放すことなく、音を通じた対話を試みるかのように語りかけ、ときには答えのない問いを投げかけます。エトヴェシュはこれまで14作品ものオペラ/ムジークテアター作品を発表していますが、この事実もエトヴェシュが音の言語的・表現的機能に絶対的な信頼をおいている証と言えるでしょう。今回演奏される作品群はすべて器楽作品ですが、そのどれもが私たちを挑発し、私たちに問いかけ、ときに親密に語りかける、エトヴェシュ作品のエッセンスが凝縮されている作品です。ホメロス、カフカ、ジョイスの描いたギリシャ神話の世界を紡ぐ《セイレーンの歌》(2020)、シンタクスの崩壊したテクストの発話とパーカッションの掛け合いが儀式のような世界を創り上げる《スピーキング・ドラム》(2012/2013)、音が映画における「カメラのように」(エトヴェシュ談)ソロ・サックスとオケの間で視点を動かしていく《フォーカス》(2021)、そしてカホンやタンブロ・バスク(バスク地方を発祥とするタンバリン)を用いた打楽器セクションとオケの対話が魔術的な音世界を謡う《鷲は音もなく大空を舞い》(2011)と、エトヴェシュの「語り」を堪能できる演奏会となるでしょう。

    福中冬子(音楽学・本学音楽学部楽理科教授)

 


2024年5月31日(金) 19:00開演(18:15開場)

          ※18:30~プレトーク

東京藝術大学奏楽堂(大学構内)


全席自由一般:4,000円学生:1,500円 ※当日学生証をお持ちください。

※就学前のお子様の同伴・入場はできませんのでご了承ください。


▊プログラム

18:30~ プレトーク:ジョルト・ナジ(東京藝術大学音楽学部特別招聘教授)

 

《セイレーンの歌》 Sirens’ Song for orchestra (2020)

《スピーキング・ドラム》 Speaking drums – four poems for percussion solo and orchestra (2012/2013)

《フォーカス》※日本初演 Focus – concerto for saxophone and orchestra (2021)

《鷲は音もなく大空を舞い》 The Gliding of the Eagle in the Skies for orchestra (2011)

 

 

▊出演者/プロフィール

ジョルト・ナジ(指揮)Zsolt NAGY(Conductor)ハンガリー生まれ。リスト音楽院で I. パルカイに指揮を学び、最優秀のディプロムを授与される。その後P.エトヴェシュに学び、国際エトヴェシュ・インスティテュートの客員教授として各地で教鞭をとった。1999年よりイスラエル・コンテンポラリー・プレイヤーズ主任指揮者兼音楽監督、2002年~14年パリ国立高等音楽院指揮科教授。これまでにBBC響、ベルリン放送響、アンサンブル・アンテルコンタンポランのほか、新日本フィルや藝大フィルなど多くのオーケストラの指揮を務めている。800を超える初演、同数におよぶ録音、及びイスラエルでの現代音楽の秀逸な演奏により特別賞を受賞。東京藝術大学音楽学部特別招聘教授。

 

藤本隆文(打楽器)Takafumi FUJIMOTO(Percussion)東京音楽大学卒業。「打楽器四重奏団SHUN-KA-SHU-TOH」のメンバーとして、ルクセンブルグ国際打楽器コンクール第2位。ジュネーヴ国際音楽コンクール打楽器部門第2位。日本管打楽器コンクール打楽器部門第2位。神奈川フィルハーモニー管弦楽団首席ティンパニ奏者を経て、現在東京藝術大学音楽学部教授。オーケストラや打楽器独奏・室内楽の分野での演奏の他、ヴィブラフォンやマリンバによる「ジャズをベースにした」即興演奏の分野にも活動範囲を広げている。

 

須川展也(サクソフォン)Nobuya SUGAWA(Saxophone)日本が世界に誇るクラシカル・サクソフォン奏者。長きにわたり、現代を代表する作曲家への委嘱を継続し、クラシカル・サクソフォンのレパートリーを開拓し続けている。国内外の著名オーケストラと多数共演し、30ヶ国以上で公演やマスタークラスを行う。東京藝術大学卒業。第51回日本音楽コンクール、第1回日本管打楽器コンクール最高位受賞。02年NHK連続テレビ小説「さくら」テーマ曲演奏など幅広い活躍を続けている。トルヴェール・クヮルテットのメンバー、東京藝術大学音楽学部招聘教授、京都市立芸術大学客員教授。

 

藝大フィルハーモニア管弦楽団The Geidai Philharmonia Orchestra, Tokyo藝大フィルハーモニア管弦楽団は東京藝術大学に所属するプロフェッショナル・オーケストラ。定期演奏会や「モーニング・コンサート」などを行うほか、指揮科学生との演奏会・試験・演習、東京藝大ジュニア・アカデミーとの共演など、学生の演奏経験の拡充にも資している。学外でも、近年では新国立劇場、彩の国さいたま芸術劇場、また長崎県、新潟県、秋田県での公演が好評を博したほか、海外では2017年6月のチリでの4公演(日本・チリ修好120周年記念)に続き、2023年12月にはアルゼンチンのコロン劇(Teatro Colón)での公演で聴衆を魅了した。(公社)日本オーケストラ連盟準会員。

 

※スケジュール・曲目・出演者等は都合により変更となる場合がありますので、ご了承ください

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